「男性用ピル」って知ってる?避妊が必要な時だけピルを飲む時代がそろそろ来そう!
最近海外で注目を集めている「男性用経口避妊薬」のニュースについてご存知ですか?
この記事では話題の「男性用経口品薬」とは一体どんな薬なのか、そもそも現代の避妊事情とはどんなものなのかについてお送りします。
最新の避妊に関する情報が気になる方はぜひ最後までご覧ください!
性行為前に飲むだけで避妊ができる男性用ピルが誕生しそう!
Nature Communicationsにて紹介された研究論文によると、発表された「男性経口避妊薬(以下、男性用ピル)」は性行為前に服用するだけで避妊ができて、副作用もない薬だそうです!
一体どんな仕組みでこのピルが作られているのか気になったので詳しく調べてみました。
この男性用ピルは、ホルモンが含まれていないことから、副作用が出ない仕組みで実現可能性が高いと研究者は話しています。しかも、服用して30分〜1時間程度経つと、薬の効果で精子が数時間だけ動かなくなり、24時間経過すると、薬の効果が切れて精子はいつも通り動くようになるという特性があります。つまり、精子が膣内に入ってきても、動けない精子は卵子まで泳げないため、結果的に妊娠が成立しにくくなるということです。加えて、この男性用ピルは継続的に服用しなくても効果が得られるため、男性は性行為前に飲むだけで避妊ができるシステムです。
避妊効果を得るために、毎日決まった時間に服用し、場合によっては薬に含まれているホルモンの影響で頭痛や吐き気などの副作用もでることがある女性向けの「低用量ピル」と比べると、オンデマンドで使用できて副作用の心配がないという男性用ピルは非常に革新的なシステムの薬だと言えますね。
この「ホルモンを含まない男性用ピル」の研究より前から、男性用ピルの研究はされていましたが、それらはホルモンを含むピルの研究ばかりでした。ホルモンが含まれている男性用ピルは、安全面や副作用の問題などが解決されていないため、研究自体は進んでいますが、実用化には至っていない状況です。そのため、今回紹介しているホルモンが含まれない男性用ピルは、比較的新しい研究ではありますが、実用化されるのはこちらの方が早いかもしれませんね!
そもそも今の避妊事情って?
さて、男性用ピルの実現を期待する以前に、そもそも今の世の中の男性が使える避妊手段がいくつあるのかご存知ですか?
実は男性主体の避妊は「パイプカット」と「コンドーム」の2種類だけなのです!しかもこの状態がなんと2000年以上も続いています。2000年前というと、縄文時代です。パイプカットは世界的にもほとんど使われていない手段なので、実質コンドームだけを頼りにで縄文時代から避妊しているということになります。こんなにも沢山のものが進化して便利な世の中になっているのに、男性の避妊手段は縄文時代から進化していないとは驚きですよね…!
また、男性用コンドームはコンビニや薬局でも気軽に買えて、性感染症予防ができる唯一の避妊具でもあることから、日本では一番普及している避妊具でもあります。しかし避妊率は低いため、他の避妊効果の高い避妊具と併用することが推奨されています。
日本で使用できる「コンドームより避妊の効果が高い避妊具」というと、低用量ピルや子宮内避妊具(ミレーナ/IUD)が挙げられます。こちらは女性主体で使用する避妊手段で、正しく使えていれば99%程度の避妊効果があるため、継続的に避妊をしたい方にはおすすめです。
一方で、避妊目的では低用量ピルは保険が使えなかったり、緊急避妊薬(アフターピル)は婦人科受診と処方箋がないと購入できないなど、日本では女性主体の避妊手段へのアクセスが悪いことが近年問題視されています。
海外で使える女性主体の避妊具には、お腹に貼る「避妊シール」や腕に入れる「避妊インプラント」、数ヶ月に一度注射して避妊効果を得る「避妊注射」などがありますが、日本ではまだこれらの避妊具の認可が降りていない状況です。
そう考えると、現代の避妊事情は、男性主体の避妊は避妊効果の低いコンドームに限定されており、高い避妊効果が期待できる避妊手段は女性に偏っていることがわかります。近い将来、男性用ピルが実現したら、男女間での避妊負担の偏りが改善されたり、避妊事情が変わることが期待できますね!
実用化したらどうなる?妄想してみた!
現代の避妊事情をガラッとかえる(かもしれない)男性用ピル。現在進行形で、これから人間が使っても大丈夫なように研究が進められているようです。
そこで!これが実際に使えるようになったら世界はどんなふうに変わるのか、女性ホルモン大学スタッフで妄想してみました!
将来は男性がお店で「ピルください」って言ってる世界になりそう、ゴムとセット販売とかしちゃうお店も出てくるんじゃない?
男性用ピルが普及しても、性感染症予防にコンドームは大事だよね※。性感染症が今より身近になるリスクも上がりそうだから、普及するときは教育もセットだといいな!
※男性用ピルは現時点で性感染症予防の効果はないとされています
男性用ピルが普及したら、ピルの存在が今よりもっと身近になりそう!避妊についても男女の負担の差がなく、お互いに向き合える環境や考える世界がもっと当たり前になるといいな。
こう考えてみると、避妊や妊活、性感染症に対する「社会の当たり前」が大きく変わりそうな予感がしませんか?
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事では、現在進行形で研究されている「男性用経口避妊薬」についてご紹介しました。ホルモンを使わないからこそ男性用経口避妊薬には副作用がないという仕組みには驚きですね。また、避妊道具の現状と選択肢を改めて考えると、男性の避妊具の選択肢がコンドームかパイプカットの2種類しかなく、しかもその状態が2000年以上続いているとは驚きを通り越してもはやショッキングでした!
個人的には、これから男性用経口避妊薬の実用化に向けた動きと同時に、女性が使う避妊具の選択肢が増えること、そして今ある選択肢のアクセスが良くなっていって欲しいと思います。
まだ実用化まではしばらくかかりそうですが、男性用経口避妊薬が実現したら世の中の避妊事情も大きく変わりそうで楽しみです!
女性ホルモン大学は引き続き男性用ピルに注目していこうと思いますので、これからも注目してください!
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